歯科訪問診療算定方法理解-基礎その1
医療保険のみの請求、介護保険を使い請求する対象事例
訪問歯科診療を開始するにあたって、算定方法は慣れるまで理解が難しいものです。訪問歯科診療の場合、医療保険と介護保険を併用して保険請求するのが原則ですが、医療保険のみで請求する場合もあります。
具体的な算定要件は他の様々なホームページに掲載されているため、ここでは理解をしやすくする考え方のみを解説いたします。判断基準は主に2つ:介護保険の被保険者(対象者)であるか、訪問先がどこか(種別)のみで判断できます。
1医療と介護の算定項目
基本の基本として理解しておきたいのは、介護保険と医療保険で評価される内容が同じ算定項目についてです。外来診療でいう歯科疾患管理料と衛生実地指導に相当するものが、訪問診療では以下のように分かれています。

上記の表にあるように、いわゆる口腔管理料が医療と介護の両方にあり、対象者によって医療のみ、介護併用を使い分けます。
2介護保険被保険者か、適用除外者か
訪問歯科の患者さんの多くは介護保険被保険者です。介護保険被保険者であるかどうか、そして訪問先がどこかによって、請求方法が決まります。

具体的には以下のような方々が対象となります。
介護保険被保険者
- 65歳以上の要支援・要介護認定を受けた方
- 40歳以上65歳未満の特定疾病により要介護認定を受けた方
介護保険適用除外者(医療保険のみ請求)
- 40歳未満の若い方で障がいをお持ちの方
- 介護保険をお持ちでない方
当然のことながら、介護保険をお持ちでない方は、介護保険請求の対象とはなりません。
3訪問先による算定区分
介護保険をお持ちの方でも、訪問先によって介護保険を適用する場合と、適用除外となり医療保険で請求するケースがあります。訪問先の種別によって決まります。

上記の図表にあるように、介護保険が算定できるかどうかは、様々な法律が複雑に絡み合っているため簡単には説明できませんが、以下のキーワードが判断基準となります。
判断基準のキーワード
- 居住している場所か
- 一時的に入院・入所しているか
- 医師の配置があり、医療を受けているか
※施設種別については、とても複雑なため、機会があれば詳細に解説したいと思います。
まとめ
訪問歯科診療の算定は、知識として個別に覚えるよりも、体系的に整理して考えると比較的理解が早くなります。
覚えるべき基本原則:
- 介護保険被保険者かどうかをまず確認
- 訪問先の種別を把握
- 医療保険のみか、介護保険併用かを判断
- 介護保険優先の原則を守る
この基礎を理解することで、複雑に思える訪問診療の算定も、論理的に判断できるようになります。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況については関係機関にご確認ください。